幸福王子 美しさについて
宝石が無くなり金箔が剥がれ落ちた王子は「芸術は美しくなければ価値がない、なぜなら高値がつかなくなるから。美しさを失った芸術は即刻廃棄されるべき。」と評され、台座から下ろされた後溶鉱炉でとかされます。
何回か観劇する中で私は、これをアイドルが出演する舞台のセリフとして存在する意味を考え始めました。
歌が好き 踊りが好き 声が好き 演技が好き
自担を好きになるきっかけは人さまざまで、中には容姿は全く好みじゃないけど人間性が好きというところで推している人もいると思います。
しかし彼らが所属するのはイケメンばかりが所属するという一般評をもつジャニーズ事務所。ゴリッゴリにルッキズム・美しさがお金に変わるという価値観の上にあるような場所です。
ファンたちも人それぞれではあるけれど、彼らの"美しさ"に価値を見いだしお金を払ってグッズやチケットを買っているわけで。
それ即ち"美しさに価値がある"という状態なわけです。
この考え方は幸福王子の中にある"美しくなければ価値がない"と表裏一体でもあります。
彼らがジャニーズ事務所に所属している以上、容姿というフィルターを完全に取り除いての評価は難しい。
普段から"美しさにお金を払っている"人達が見に来る舞台で、"美しくなければ(金銭的)価値がない"という考え方をアイドル本人たちから提示されるのが、幸福王子という舞台です。